子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、省エネ性能の高い住宅の新築・取得・改修を支援する【子育てグリーン住宅支援事業】が始まっており、令和7年6月からは建売分譲住宅も対象となりました。
最大160万円の補助金を受け取れるこの制度は、物価高騰や光熱費の上昇に直面する家庭にとって大きな後押しになります。
この記事では、不動産FPが、制度の内容や補助対象となる住宅の違い、申請条件、補助額などを詳しく解説します。
子育てグリーン住宅支援事業とは?
「子育てグリーン住宅支援事業」は、国土交通省と環境省が共同で推進する補助制度で、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環です。
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新築住宅について、エネルギー価格などの物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに対して、「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた裾野の広い支援を行うとともに、既存住宅について、省エネ改修等への支援を行う事業です。
※国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業」公式ページより引用
このように、エネルギー性能の高い住宅の取得や改修に補助金を支給することで、光熱費の負担軽減とともに、日本全体のエネルギー消費削減を目指しています。
関連リンク
▶子育てグリーン住宅支援事業【公式】
対象となる住宅と補助金額
補助対象住宅 | 補助額(1戸あたり) | 古家除去による加算 |
---|---|---|
GX志向型住宅 | 160万円 | 対象外 |
長期優良住宅 | 80万円 | +20万円 |
ZEH水準住宅 | 40万円 | +20万円 |
上記の通り建物の性能により3段階での補助額となっております。また、長期優良住宅・ZEH水準住宅では、新築工事の建築主・購入者などが古家を解体して建直した場合、20万円が加算されます。
補助対象住宅の種類
GX志向型住宅
ZEH基準を大きく上回る高性能な省エネ住宅です。
要件
- 断熱等性能等級6以上
- 一次エネルギー消費量削減率:再エネ除く35%以上、再エネ含む100%以上
- HEMS(家庭用エネルギー管理システム)の導入が必要
特徴
- 太陽光発電などの再エネ設備設置が必須
- 高断熱・高効率な設備で光熱費削減効果が高い
- 建築コストは高め
長期優良住宅
ZEH水準と同等の断熱・エネルギー性能を持ちながら、長く良好な状態で使えるよう設計された住宅です。
要件
- 断熱等性能等級5以上
- 一次エネルギー消費量等級6以上
特徴
- 登録免許税・不動産取得税などの税制優遇あり
- 住宅ローン控除の上限額アップ
- 建築コスト高め
- 維持保全計画に基づく定期点検費用が必要
ZEH水準住宅
ZEH基準に準拠した性能を持つ、最も一般的な省エネ住宅。
要件
- 断熱等性能等級5以上
- 一次エネルギー消費量等級6以上
特徴
- 建築コストは比較的抑えめ
- 新築・建売住宅での採用が年々増加中
- 快適な住環境と光熱費の削減効果あり
対象となる世帯の条件
GX志向型住宅
全ての世帯が受給可能
長期優良住宅・ZEH水準住宅
子育て世帯・若者夫婦世帯に限り受給可能
世帯 | 内容 |
---|---|
子育て世帯 | 令和6年4月1日時点で18歳未満の子を有する世帯。 (令和7年3月末までに建築着工している場合は、令和5年4月1日時点で18歳未満の子) |
若者夫婦世帯 | 夫婦のいずれかが令和6年4月1日時点で39歳以下の世帯。 (令和7年3月末までに建築着工している場合は、令和5年4月1日時点で39歳未満) |
申請方法とスケジュール
申請は登録事業者(工事請負業者や販売事業者など)を通して行う必要があります。
申請期限は令和7年12月31日までとなっておりますが、予算が上限に達すると即時終了となります。
例年、同様の補助事業が実施されておりますが、申請期限前には予算達成し終了となっておりますので、ご検討の方はお早めのお手続きをお勧め致します。
まとめ
「子育てグリーン住宅支援事業」は、省エネ住宅の取得や改修を検討している子育て世帯・若者夫婦世帯にとって、住宅性能を高めながらも費用面での負担を軽減できる心強い制度です。
ZEH水準住宅からGX志向型住宅まで、住宅の性能に応じて最大160万円の補助が受けられ、さらに長期優良住宅・ZEH水準住宅に建て替えの場合には加算も適用されます。
制度には申請期限と予算枠があるため、早めの情報収集と計画的な行動がカギとなります。
よくある質問(Q&A)
- Q. GX志向型住宅はどの世帯でも補助を受けられますか?
- A. はい、GX志向型住宅は全世帯が補助対象です。子育て世帯や若者夫婦世帯に限られません。
- Q. 古家を解体して新築する場合、加算は自動でつきますか?
- A. 長期優良住宅やZEH水準住宅の場合、建築主が条件を満たし、登録事業者を通じて所定の申請を行えば20万円の加算が適用されます。
- Q. HEMSの導入は全住宅タイプで必要ですか?
- A. いいえ。HEMSの導入はGX志向型住宅では必須ですが、ZEH水準住宅や長期優良住宅では要件に含まれていません。
この記事を書いた人
佐々木 大地(宅地建物取引士・AFP〈日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー〉・住宅ローンアドバイザー)
青森県八戸市を拠点に、不動産売買・相続相談をサポートしています。
宅建士・FP資格を活かし、住宅購入・売却に伴う家計診断やキャッシュフローシミュレーションまでトータルでご提案。
地域密着の視点から、初めての不動産取引でも安心してご相談いただけるパートナーを目指しています。