公開日:2022/11/06
カテゴリー:ブログ
11月6日付の日経新聞にて、日本の住宅ローン残高が過去最大規模の220兆円に達したとの記事がありました。
グラフを見る限り2017年頃から残高の伸び具合が高くなっており、2021年頃からはやや鈍化したものも上昇傾向にあり、コロナ禍とは言え、巣ごもり需要による住宅購入があり、住宅取得は好調なようです。
また、記事中において、変動金利を選択した割合が73.9%と言う事でした。
私自身、変動金利で住宅ローンを借入しておりますが、約10年間一度も金利が変わっておりません。
この73.9%という数字に少し違和感を覚えましたが、変動金利で借り入れをした方たちは、どのような根拠で選択したかご理解しているのでしょうか?
金利の種類としては、変動金利の他、10年固定や全期間固定が一般的かと思いますが、通常、変動<10年固定<全期間固定と金利が高くなります。
変動金利は利率上昇のリスクがある代わりに金利が安く設定され、固定金利にはその固定期間中は支払額が変わらないという安心感があります。
さて、今後の金利はどうなっていくのでしょうか?
我々、住宅関連従事者はもちろん、本職の金融関連従事者であっても、1~2年程度ならともかく、10年後や住宅ローン期間35年の金利は正確に予測はできません。
それではどのように金利を選択するのでしょうか。
それは家族構成や家族のライフステージなどを考慮し、多少のリスクを負っても低金利の変動金利を選ぶべきか、ある一定の期間の支払額を固定してリスクを軽減するべきか、を判断する必要があります。
~例~
ご夫婦30歳+子供2人(4歳・2歳)の家族の場合
この家族が10年固定で住宅ローンを借入した場合、10年後の金利再選択時は確実に金利が上昇します。
なぜなら、最初の10年間はキャンペーン金利となっており、基準金利よりだいぶ安くなっておりますが、再選択時は基準金利から多少引いた金利になるからです。
そうすると、お子さんが14歳・12歳と、いよいよ教育費用が上がるタイミングに、住宅ローン支払い額が上昇し重大な家計圧迫となります。
また、最初の10年間も小学校・中学校と比較的教育費がかからない時代に、わざわざ変動と比べると高い金利でリスクを抑えることになります。
尚、10年後の再選択時に変動に借換えをするという案も出そうですが、10年後に金利がどうなっているかは分かりません。
もちろん収入に対する支払額のバランスなどもありますが、このような家族構成の場合、多少のリスクを負って変動金利を選択するか、なるべくリスクを負わない安定志向であれば全期間固定を選択するかの2択となります。
住宅ローン借入を行った73%もの方々全てが、上記のような家族構成・ライフステージに該当するとは考えられず、恐らくハウスメーカーや不動産業者から目先の支払額だけを強調して勧められ、そのまま選択した方が相当数いるのではないでしょうか?
ご家族の年代などによっては10年固定が最適な方もおります。目先だけの支払額だけで住宅ローンを決めないよう、強く訴えたいと思います。